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化学のたまねぎ

1剤水洗の有無について、オレンジコスメの見解

2015.07.13

時々質問があるので、簡単にまとめてみました。
いろいろなご意見があると思いますが、これも一つの考え方としてご理解ください。

 

<1剤水洗の有無について、オレンジコスメの見解>

中間水洗はやらなければならない。
「洗い流すセット料」だからではなく、現実的な問題としてやらなければならない。
コールド施術での薬液反応は以下のように考えられている。

KSSK+RSH ⇄ KSH+KSSR ・・・1式
KSSR+RSH ⇄ KSH+RSSR ・・・2式
これが1剤処理による二段階反応。

 

2液の反応を書くと

2KSH+O→KSSK+H2O    ・・・3式

 

もしここで中間水洗をしなければ、この3式には一つ反応が追加されるのかもしれない。

KSH+RSH+O→KSSR+H2O   ・・・3’式

 

中間水洗を行わない場合、未反応のRSHが多量に残っている可能性があるので、そのまま酸化されると当然KSSRが生成されると考えられる。
そもそも、1式と2式の反応で見落とされているのは、常に過剰のRSHがあるということじゃないかと思う。
書かれた式のように、大人しく1モルずつ並んでいる訳でもない。
ジチオを入れるとか水を入れるとかじゃなくて、RSHを流せば反応は自然に止まるのではないかと思う。

 

近藤先生が書かれた昭和31年「コールドウエーブの化学」で、「少し伸びたからと言って何度もかけたりすれば、当然毛髪が損傷し、ツヤも失い弾力もなくなるという結果になる。したがって毛髪のためにはなるべく柔らかくパーマネントをかけ、セットを多くして髪の形を整えるように注意すべきである。そして出来るだけ、一度かけた部分が伸びるのを待ち、再度かける時は前にかえた部分をカットしてしまい、新しい毛髪にかけるようにすれば、良いソリューションを用い操作に失敗のない限り、毛髪は常に美しいツヤと弾力を失わないものである。」

この文章は、現場の状況に即していないことは分かる。
しかし、これは学問を生業とする研究者として書かれた正しい認識ではないかと思う。

 

いつも思うのは、理論が現場を作るのではなく、現場で起こったことの説明または裏付けとして理論があると言うこと。
中間水洗の必要性やトリートメントの有効性は、現場が一番理解していることなので心配無用ではあるが、自分たちの考え方として認識しておきたい。

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