化学のたまねぎ
石油系って髪にどうなの
2015.07.20
たまに「これって石油系ですか?」って聞かれる。
どうやら、この原料は石油から合成されたものですか、と言う意味らしい。
原料は石油から作られるものもあるし、天然由来や発酵によって作られるものもある。
イメージとして石油から作られるものはあまり良くない、と言うことだろうと思うが、実際は石油由来でもないのに石油系と思われている原料もある。
ラウリル硫酸ナトリウム等のラウリルやラウレス系は、当然ヤシ油由来なのにイメージとしては石油系と思われている。
イメージとしての石油系なのか、由来としての石油系なのか、そもそも石油系と呼ばれるものは良くないものなのか。
アミノ酸系の原料を語るとき、この考え方では少々困ることがある。
アミノ酸の中でもグルタミン酸は、サトウキビやトウモロコシなどの天然素材から作られている。
が、それ以外のアミノ酸はほとんど石油から作られる。
だからと言って、石油系原料のアミノ酸は、と言うのも違和感がある。
たぶん、それでいいのだろうと思う。
由来ではなく出来上がった原料のイメージとして、石油っぽいか天然っぽいかと言うだけで、石油由来だから肌に対して刺激があるとか脱脂力があるとか、そういう話でもないのだろう。
アラニンやアスパラギン酸などの石油由来のアミノ酸原料でも、肌に対して優しいものはたくさんある。
同じ濃度なら、天然ヤシ油由来のラウレス系界面活性剤より優しいと思う。
ただ、ラウレス系やラウリル系を使うにはそれなりに理由がある。
もちろん原価が安いと言うこともあるが、濃度調整や種類によってはカラーの色落ちが少ない処方が組めるという事があるからだ。
やはりそこも使い方。
余計な油分をしっかり落としたい製品や低濃度でなるべくカラーの色持ちを良くしたいなら、ラウレス系界面活性剤もいいと思う。
余計な脱脂を抑えて、髪や地肌に優しい製品を作るなら、アミノ酸系界面活性剤がいいのだろうと思う。
原料も人も適材適所、使い方次第で役に立ったり立たなかったり。
工場の人を営業に行かせても、それは違うでしょって話。
天然とか石油とかじゃなくて、原料そのものにどんな特長があるのか、何故配合する必要があったのか、その説明の方が重要だと思う。
作り手も使い手も、何もかも一纏めで評価することはあまり意味のないことだと思う。
シリコーンの由来はケイ素で、ケイ素は地殻にある物質なので、結局シリコーンは天然系という、面白い発想をする方もいらっしゃるので、何とか系という言葉の理解は中々難しい。
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