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化学のたまねぎ

取りあえず危険にしておこう的な思考

2016.02.06

 

危機感はとても大切だと思うが、世の中安全なものがない的な考え方は如何なものか。

安全な製品を作りたいと思うのは、メーカーさん・ディーラーさん・美容師さん、みんな同じだ。

メーカーだからとか美容師さんだからとかって区分じゃなくて、誰が作ったとしても普通に考えてわざわざ危険な製品を作る理由がない。

 

界面活性剤の危険性についても色々言われてはいるけど、何と比べて危険なのか、何が危険なのか、よく分からない。

洗浄力で考えると、高級アルコール系界面活性剤は洗浄力が強いので、割と低濃度でシャンプーを作ることができる。

アミノ酸系界面活性剤は洗浄力があまり強くないので、割と高濃度にしないとシャンプーとしての機能が物足りない。

 

どっちが危険?って言われても、モノが違うからなんとも言えない。

 

アルコール濃度の低いビールとアルコール濃度の高いウイスキー、どっちが危険か?

飲み過ぎれば、どっちも危険です。

 

要するに、閾値の問題だと思う。

適度に酔うために必要なアルコールであれば、どちらもそれほど危険じゃない。

泥酔するほど飲めば、どちらも危険。

塩だって醤油だって摂取し過ぎれば、死に至ることもある。

 

どの作り手も、危険ではないと考えている範囲でモノづくりをする。

 

シャンプーで使う界面活性剤の配合量は、使う原料やコンセプトによって違う。

アミノ酸系やスルホコハク酸系がベースの場合、界面活性剤の純分で15%程度から始める。

高級アルコール系やαオレフィン酸系であれば、10%あたりから始める。

これは起点として。

 

たぶん、界面活性剤の純分濃度なんて、パブリックも美容業界もそれほど変わらない。

そこの差を考える場合、濃度とかの問題ではないですよね。

 

この濃度で毎日洗っても、何も問題も危険性もないと判断されているから販売されている。

もちろん、肌に合うか合わないか、痒みが出るか出ないかは、人によって違うからその中から自分に合うモノを選択する必要はある。

ラウリル系は比較的刺激がある部類に入る、アミノ酸系は比較的刺激が少ない部類に入る、ただどちらも普通のシャンプー処方なら、特に問題はない。

アミノ酸系シャンプーをカラー毛に使うと少し赤みに振れる可能性がある、ラウレス系シャンプーは、ポリオキシエチレンの付加モル数によって色落ちが少ない処方にできる可能性がある

主になる界面活性剤は、コンセプトや目的によって選ばれている。

 

危険とは言いがたいけど、化粧品に使用するにあたって一番気をつけたいのは「食品基準の原料」。

食べ物だから安全ということはありません。

食品原料は、安全性確認のための色々な試験を行った上で化粧品原料として使えるようになるので、その色々な試験を食品だから安全だろうということでこの試験を省いてしまうと、いろいろな問題が出てくる。

 

かつての石けんのように、食品で使われていた加水分解コムギを使ったことで、いろいろな要因が絡んで結果的にアレルギーが出てしまった例もある。

食べるものだから安全という神話は都市伝説としか言い様がない。

ただ、なぜ使ったかについては、分かる部分はある。

 

※ 加水分解コムギがすべてダメという訳でなくて、たとえば成和化成さんのような化粧品原料

としての加水分解コムギはアレルギー性の物質が含まれていない。

 

化粧品だから安全ではなく、使い方を間違えると化粧品も危険と解釈する。

決められた用量用法を守って正しく使われた場合に限り安全、というのが正しい見解。

 

界面活性剤も、天然か合成か・刺激があるかないかではなくて、どのような目的で作られているのかを基準に考えると、もっと違うものが見えてくる。

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